ジョシュ・ベケット

ジョシュ・ベケット
Josh Beckett
基本情報
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
出身地 テキサス州スプリング(英語版)
生年月日 (1980-05-15) 1980年5月15日(44歳)
身長
体重
6' 5" =約195.6 cm
225 lb =約102.1 kg
選手情報
投球・打席 右投右打
ポジション 投手
プロ入り 1999年 ドラフト1巡目
初出場 2001年9月4日
最終出場 2014年8月3日
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)
この表について
この表はテンプレートを用いて表示しています。編集方法はTemplate:Infobox baseball playerを参照してください。

プロジェクト:野球選手  ■テンプレート

ジョシュア・パトリック・ベケットJoshua Patrick Beckett, 1980年5月15日 - )は、アメリカ合衆国テキサス州スプリング(英語版)出身の元プロ野球選手投手)。右投右打。

経歴

プロ入り前

テキサス州で生まれ育ち、テキサス州スプリング高等学校(英語版)へ進学。2年次の時には89イニングを投げ13勝2敗・防御率0.39・178奪三振を記録し、ドラフト指名の可能性を探ったが、父は「彼の人生で最高に楽しい時代を失うかもしれない」と判断し、本人の意思で3年次へ進級[1]

3年時には10勝1敗・防御率0.46を記録し、USAトゥデイの高校最優秀投手に選出され[2]、ドラフト史上初の高校生右腕として全体1位指名が期待された[1]

マーリンズ時代

1999年MLBドラフトフロリダ・マーリンズから1巡目(全体2位)指名を受け入団。小学校の入学が1年遅れたため19歳での指名となった[1]

2001年にはマイナーリーグブレバード・カウンティ・マナティーズポートランド・シードッグスで防御率1.54、14勝1敗の成績を残し、史上3人目となるベースボールアメリカ誌とUSAトゥディ紙の両方から「マイナーリーグ年間最優秀選手賞」を受賞した[3][4]。9月4日のシカゴ・カブス戦で21歳112日と球団史上6番目の若さでメジャーデビューし、初登板初勝利を挙げた[5]

2002年は107.2イニングを投げ113奪三振と奪三振が投球回を上回ったが、5月1日から14日、6月5日から16日、8月23日から9月11日の計3回故障者リスト入りとなり怪我になかされた。以後ベケットは2005年まで故障者リスト入りを繰り返した。

2003年ニューヨーク・ヤンキースとの同年のワールドシリーズ第6戦で中3日の登板であったが、ヤンキース打線を5安打完封し、シリーズMVPを獲得した。

2004年は開幕前にサイ・ヤング賞候補の1人に挙げられるも、3回故障者リスト入りとなり、勝ち星も9に留まった[6]

2005年に15勝を記録。これは自身初の2桁勝利だった。

レッドソックス時代

2005年オフ、マーリンズの緊縮財政のためマイク・ローウェルギレルモ・モタとともにハンリー・ラミレスアニバル・サンチェスら3対4のトレードでボストン・レッドソックスへ移籍した[7]

2007年

2006年、16勝・33先発・204.2イニングはいずれも自己最高・チーム1位だったが、防御率5.01は自己最低、被本塁打36はリーグワースト2位。

2007年シーズン終了後にFAとなるベケットに対し、球団は7月19日に3年総額3000万ドル(4年目の2010年は球団オプション)で契約延長した[8]。同年は力だけでねじ伏せる投球からカーブ、チェンジアップを多く織り交ぜるようになった[9]スプリングトレーニングテリー・フランコーナ監督に「あいつはもう準備万端だ。今年は凄いことになるぞ」と言わしめた[9]。4月をベーブ・ルース1917年)、ペドロ・マルティネス2000年)に次いで球団史上3人目となる5勝0敗を記録[10]。また、開幕から5月8日にかけての7戦7勝は球団史上4位タイ[10]。5月13日のオリオールズ戦を4回で降板。翌14日から右手中指の裂傷により15日間の故障者リスト入りとなった[11]。6月14日にシーズン初の敗戦を喫するまでに9勝を記録。初めて選出されたオールスターでは2回を無失点に抑え、勝ち投手となった[12]。両リーグ最多の20勝を挙げ、自己最多の194奪三振を記録。

ポストシーズンではディビジョンシリーズリーグチャンピオンシップシリーズワールドシリーズの初戦に登板。また、リーグチャンピオンシップシリーズではレッドソックスが3敗と負ければシリーズ敗退となる第5戦に登板。ポストシーズン、計4試合に登板し4勝・2完封を記録。リーグチャンピオンシップではMVPを獲得し、自身2度目のワールドシリーズ制覇に貢献した。

2008年はスプリングトレーニング期間中に腰を痛め日本で行われる開幕戦には同行せずに故障者リスト入りで開幕を迎えた[13]。シーズン初登板は開幕7戦目のブルージェイズ戦。4月27日のレイズ戦では自己最高の13奪三振を記録[14]。8月29日に右ヒジ痛のため8月18日に遡り故障者リスト入り[15]。9月5日に復帰を果たしたがポストシーズンでは球威がなく、14.1イニングで7本の本塁打を浴びた[16]

2009年はシーズンを通じて先発ローテーションを守り、キャリアハイの212.1イニング投げて同じくキャリアハイとなる199奪三振、4完投、2完封を記録した。

2010年は夏場に怪我で約2ヶ月戦列を離れ、さらに21度の先発機会で8度の自責点5以上を喫するなど精彩を欠いた。2005年以降続けてきた規定到達を逃し、メジャー定着後最低となる5勝、防御率5.23という成績だった。

2011年は復調し、シーズン終盤まで最優秀防御率を狙える位置にいたが、最後の2試合でいずれも6失点を喫して結局5位に終わった。それでも193イニングを投げ防御率2.93、13勝という好成績を挙げた。

2012年は最初の登板となった試合で7失点を喫するなど不振で、21試合に先発して5勝、防御率5.23という成績だった。

ドジャース時代

ロサンゼルス・ドジャース時代
(2013年4月19日)

2012年8月25日にジェームズ・ローニー、イバン・デヘスースアレン・ウェブスタールビー・デラロサとのトレードで金銭に加え、エイドリアン・ゴンザレスカール・クロフォードニック・プントと共に、ロサンゼルス・ドジャースへ移籍した[17]。移籍後は7試合に先発して防御率2.93と復調したが、シーズントータルでは7勝に留まり、防御率は4.65だった。

2013年も開幕から不調。シーズン途中に胸郭出口症候群を発症し、5月13日の登板を最後に離脱、7月10日に手術を受けシーズンを終えた。8.1イニングを1失点ながら負け投手となった試合があるなど不運もあり、シーズンでは1勝もできなかった。防御率も5.19だった[18]

2014年3月19日に右手の親指を負傷したため、15日間の故障者リスト入りした。開幕後の4月9日にリストから外れた[19]。このシーズンは序盤から好調を維持し、5月25日の対フィラデルフィア・フィリーズ戦で、3与四球によるノーヒットノーランを達成[20]。8月中旬に左腰部痛で故障者リスト入りした後は登板がなく、防御率2.88ながら6勝6敗に留まった。10月7日に現役引退を発表[21]

引退後

2017年11月11日の未明、泥酔状態でライブ会場のステージに乱入し、歌手に暴行を働いて負傷させた容疑で逮捕された[22]

選手としての特徴

6' 5"(約195.6 cm)の長身を活かした直球が武器で、2006年には球速95mph(約152.9km/h)以上の球を1072球(両リーグ最多)投じた、メジャーを代表する速球派先発投手の一人。

投球スタイルは全身を無駄無く稼働させたクセの無いフォームだが、長身であるためリリースポイントが打者に非常に近く、球速表示以上に感じる速球を投げる。投球の約7割がストレートと言う豪速球投手。2007年には、速球のみならず、制球重視の方針を取った。このことが彼に多大な成功をもたらし、同年、20勝を挙げサイ・ヤング賞候補の一人となった。故障がちであったがそれも改善され、アメリカンリーグのみならずメジャーを代表する投手の一人となった。

指に肉刺(まめ)ができやすく、シーズン中に肉刺をつぶして離脱したことが度々ある。

詳細情報

年度別投手成績





















































W
H
I
P
2001 FLA 4 4 0 0 0 2 2 0 0 .500 99 24.0 14 3 11 0 1 24 1 0 9 4 1.50 1.04
2002 23 21 0 0 0 6 7 0 0 .462 454 107.2 93 13 44 2 1 113 5 0 56 49 4.10 1.27
2003 24 23 0 0 0 9 8 0 0 .529 601 142.0 132 9 56 4 2 152 6 1 54 48 3.04 1.32
2004 26 26 1 1 1 9 9 0 0 .500 654 156.2 137 16 54 3 6 152 5 0 72 66 3.79 1.22
2005 29 29 2 1 0 15 8 0 0 .652 728 178.2 153 14 58 2 7 166 5 0 75 67 3.38 1.18
2006 BOS 33 33 0 0 0 16 11 0 0 .593 869 204.2 191 36 74 1 10 158 11 1 120 114 5.01 1.29
2007 30 30 1 0 1 20 7 0 0 .741 822 200.2 189 17 40 0 5 194 3 0 76 73 3.27 1.14
2008 27 27 1 0 0 12 10 0 0 .545 725 174.1 173 18 34 1 9 172 5 0 80 78 4.03 1.19
2009 32 32 4 2 1 17 6 0 0 .739 883 212.1 198 25 55 1 7 199 3 1 99 91 3.86 1.19
2010 21 21 0 0 0 6 6 0 0 .500 577 127.2 151 20 45 3 8 116 3 0 89 82 5.78 1.54
2011 30 30 1 1 1 13 7 0 0 .650 767 193.0 146 21 52 1 9 175 6 0 65 62 2.89 1.03
2012 21 21 0 0 0 5 11 0 0 .313 547 127.1 131 16 38 2 5 94 4 0 75 74 5.23 1.33
LAD 7 7 0 0 0 2 3 0 0 .400 183 43.0 43 5 14 4 0 38 1 0 16 14 2.93 1.33
'12計 28 28 0 0 0 7 14 0 0 .333 730 170.1 174 21 52 6 5 132 5 0 91 88 4.65 1.33
2013 8 8 1 0 0 0 5 0 0 .000 195 43.1 50 8 15 2 1 41 0 0 30 25 5.19 1.50
2014 20 20 1 1 0 6 6 0 0 .500 475 115.2 96 17 39 2 5 107 1 0 41 37 2.88 1.17
MLB:14年 335 332 12 6 4 138 106 0 0 .566 8579 2051.0 1897 238 629 28 76 1901 59 3 957 884 3.88 1.23
  • 各年度の太字はリーグ最高

タイトル

  • 最多勝利:1回(2007年)

表彰

記録

MiLB
MLB

背番号

  • 61(2001年 - 2003年途中、2012年途中 - 2014年)
  • 21(2003年途中 - 2005年)
  • 19(2006年 - 2012年途中)

脚注

  1. ^ a b c 福島良一「'99ドラフト指名候補スカウティング・リポート」『月刊メジャー・リーグ』1999年6月号、ベースボールマガジン社、1999年、雑誌 08625-6、46頁 - 47頁
  2. ^ “Josh Beckett Biography and Career Highlights” (英語). 2008年6月28日閲覧。
  3. ^ BaseballAmerica.com: Prospects: All-Around Game Leads Reds' Bruce To Player Of Year Award 2008年3月6日閲覧.
  4. ^ Minor League Player of Year to be announced Sept. 5 - USATODAY.com 2008年3月6日閲覧.
  5. ^ “2001 Career Highlights:Josh Beckett” (英語). MLB.com. 2008年3月6日閲覧。
  6. ^ 友成那智、村上雅則『メジャーリーグ・完全データ選手名鑑2005』廣済堂出版、2005年、254頁。ISBN 978-4-331-51093-3。 
  7. ^ “Marlins deal Lo Duca to Mets” (英語). MLB.com. 2008年11月4日閲覧。
  8. ^ Associated Press (2006年7月19日). “Red Sox sign righty Beckett to three-year extension” (英語). ESPN.com. 2008年3月6日閲覧。
  9. ^ a b Michael Silverman / Boston Herald 「ジョシュ・ベケット [BOS #19] 豪腕伝説 第二章」 木村愛訳、『スラッガー』2008年1月号、日本スポーツ企画出版社、2008年、雑誌15509-1、14頁 - 17頁
  10. ^ a b Kerzel, Pete (2007年4月26日). “Pena's slam boosts Beckett to 5-0” (英語). MLB.com. 2009年10月1日閲覧。
  11. ^ “Boston Red Sox Transactions May 2007” (英語). MLB.com. 2009年10月1日閲覧。
  12. ^ “July 10, 2007 All-Star Game at AT&T Park Box Score and Play by Play” (英語). Baseball-Reference.com. 2008年11月4日閲覧。
  13. ^ Browne, Ian (2008年3月24日). “Beckett to start season on DL” (英語). MLB.com. 2009年10月1日閲覧。
  14. ^ ST. PETERSBURG, Fla. (AP) (2008年4月27日). “Behind Shields' two-hitter, Rays extend win streak to six” (英語). ESPN.com. 2009年10月1日閲覧。
  15. ^ Remme, Mark (2008年8月29日). “Sox place Beckett on disabled list” (英語). MLB.com. 2009年10月1日閲覧。
  16. ^ 友成那智、村上雅則『メジャーリーグ・完全データ選手名鑑2009』廣済堂出版、2009年、53頁。ISBN 978-4-331-51370-5。 
  17. ^ http://www.mlbtraderumors.com/2012/08/red-sox-dodgers-complete-nine-player-blockbuster.html
  18. ^ [Beckett to undergo surgery, likely out for season http://mlb.mlb.com/news/article.jsp?ymd=20130629&content_id=52206772&notebook_id=52206894&vkey=notebook_la&c_id=la]
  19. ^ “Dodgers reinstate Josh Beckett from the disabled list; option Jose Dominguez to Triple-A Albuquerque”. MLB.com Dodgers Press Release (2014年4月9日). 2014年4月10日閲覧。
  20. ^ ベケットが無安打無得点試合 ドジャースでは96年の野茂以来スポーツニッポン2014年5月26日配信
  21. ^ 138勝腕ベケット引退発表 5月にノーヒッターも腰痛め…スポーツニッポン2014年10月9日配信
  22. ^ “ベケット元投手逮捕 泥酔状態で歌手にケガ負わせる”. 日刊スポーツ (2017年11月13日). 2017年12月2日閲覧。

関連項目

外部リンク

ウィキメディア・コモンズには、ジョシュ・ベケットに関連するカテゴリがあります。
  • 選手の通算成績と情報 MLB、ESPN、Baseball-Reference、Fangraphs、The Baseball Cube、Baseball-Reference (Register)
  • Josh Beckett stats MiLB.com (英語)
  • Herradura Ranch - A Classic South Texas Hunting Experience - Texas trophy whitetail hunting and Texas deer management hunts
  • Josh Beckett (@joshbeckett) - X(旧Twitter)
 
業績
 
開幕投手
マイアミ・マーリンズ開幕投手
1990年代
2000年代
2010年代
2020年代
ボストン・レッドソックス開幕投手
1900年代
1910年代
1920年代
  • 20 アレン・ラッセル
  • 21 サッド・サム・ジョーンズ
  • 22 ジャック・クイン
  • 23 ハワード・イームケ
  • 24 ハワード・イームケ
  • 25 アレックス・ファーガソン
  • 26 ハワード・イームケ
  • 27 スリム・ハリス
  • 28 ダニー・マクフェイデン
  • 29 レッド・ラフィング
1930年代
1940年代
  • 40 レフティ・グローブ
  • 41 ジャック・ウィルソン
  • 42 ディック・ニューサム
  • 43 テックス・ヒューソン
  • 44 ヤンク・テリー
  • 45 レックス・セシル
  • 46 テックス・ヒューソン
  • 47 テックス・ヒューソン
  • 48 ジョー・ドブソン
  • 49 ジョー・ドブソン
1950年代
  • 50 メル・パーネル
  • 51 ビル・ワイト
  • 52 メル・パーネル
  • 53 メル・パーネル
  • 54 メル・パーネル
  • 55 フランク・サリバン
  • 56 フランク・サリバン
  • 57 トム・ブルワー
  • 58 フランク・サリバン
  • 59 トム・ブルワー
1960年代
1970年代
1980年代
1990年代
2000年代
2010年代
2020年代
アメリカンリーグ最多勝投手
1900年代
1910年代
1920年代
1930年代
1940年代
1950年代
1960年代
1970年代
1980年代
1990年代
2000年代
2010年代
2020年代
1950年代
1960年代
1970年代
1980年代
1990年代
2000年代
2010年代
2020年代
1980年代
1990年代
2000年代
2010年代
2020年代
1940年代
  • 49 ジョー・ペイジ(英語版)
1950年代
1960年代
1970年代
1980年代
1990年代
2000年代
2010年代
2020年代
 
ワールドシリーズ ロースター
フロリダ・マーリンズ 2003年のワールドシリーズ ロースター
   

選手
01 ルイス・カスティーヨ
07 イバン・ロドリゲス
09 フアン・ピエール
11 アレックス・ゴンザレス
14 トッド・ホランズワース
18 ジェフ・コーナイン
19 マイク・ローウェル
20 ミゲル・カブレラ
21 ジョシュ・ベケットシリーズMVP
25 デレク・リー

監督
15 ジャック・マキーオン

コーチ
13 オジー・ギーエン(三塁)
16 ペリー・ヒル(一塁)
23 ダグ・デービス(ベンチ)
26 ウェイン・ローゼンタール(投手)
28 ビル・ロビンソン(打撃)
47 ジェフ・コックス(ブルペン)
67 ピエール・アーセノールト(ブルペン)

ボストン・レッドソックス 2007年のワールドシリーズ ロースター
   

監督
47 テリー・フランコーナ

コーチ
02 ブラッド・ミルズ(ベンチ)
16 ルイス・アリセア(一塁)
29 デーブ・マガダン(打撃)
35 ディマーロ・ヘイル(三塁)
52 ジョン・ファレル(投手)
57 ゲイリー・タック(ブルペン)