同一名称の市区町村一覧

同一名称の市区町村一覧(どういつめいしょうのしくちょうそんいちらん)では、日本の現存市町村、区およびの名称における、同一名称、混同しやすい名称の一覧を示した。

概要

市区町村のうち、市名に関しては同一名称を避けるべきだという国の方針がある。1970(昭和45)年3月12日の自治省自治事務次官通知によると、市の新設または町の市への昇格の場合、新たな普通地方公共団体である市の名称は既存の市の名称と同一または類似するものにならないようにする必要である。しかし、2001(平成13)年の西東京市の合併に当たって、自治省は照会で、「既に全国に同一または類似の名称の市町村が存在するなら、同じ表記で読み方が異なる場合」だけを不可とし、「異なる表記で読み方が同じ場合」「同一または類似の町村が存在する場合」は可とした[1]。したがって、現在に表記まで同一名称の市は非常に少ないが、それぞれ2カ所に存在する府中市(通知の前に成立した上、市制施行日も1日だけ違う)と伊達市の2例がある[2]。また、このルールにより、地名に旧国名などを付加して既有の市名と区別を図るケースが見られる(常陸大宮市安芸高田市豊後大野市など)[3]

一方、町村の名称に関しては1958年(昭和33)年5月7日の行政実例の「知事は、市町村の名称の変更許可申請があった場合に、その名称が類似名称である(一部省略)ときは、不許可となしうる」という記載だけが確認できる[1]信州大学人文学部の村山研一によると、一般的には市町村名には以下の3つの機能がある[3]

  1. 合併後の地域としてのまとまり、内部統合を作り出すシンボル的な機能
  2. 自治体の独自性を示し、他の自治体との弁別を図る機能
  3. 地域の歴史の流れと蓄積を反映し、時間の同一性を維持する機能

明治の大合併」では内務大臣訓令第352号に基づいて「大町村と小町村が合併するときは、大町村名を採用する」「著名な名称が存在する時は、その名称を採用する」「規模に差のない小町村同士が合併するときは折衷して、旧町村名の一部を合成する」(合成地名)という新自治体の命名に関する基本的な指針が見られ、「昭和の大合併」「平成の大合併」でもそのまま用いられた。「明治の大合併」に関する統計によると、特に合併後の新自治体は既存の町村名を継承するか、郡名などの広域地名を採用する名称が多い。一方、平成の大合併ではこれ以外に旧国名を用いる広域地名や新たに創作された瑞祥地名の自治体名も多くなり、その一部に重複または類似性も見られる。例えば、1998年末の時点で5つあった「美里」または類似の名称を名乗る自治体は平成の大合併で3つが消滅した一方、新設自治体での採用により2009年の時点で会津美里町を含む「美里町」または「美郷町」は6つも増えた。また、旧国名をそのまま自治体名に使用される場合、1つの区域に複数の類似名称が集まり、競争を生じて識別機能が低下するとの危惧もある(例:伊豆市伊豆の国市[3]

同一名称の市区町村および郡一覧

同一名称の市

  • 府中市: ふちゅうし 東京都 - 広島県
  • 伊達市: だてし 北海道 - 福島県

同一名称の区

東京都特別区および政令市の行政区。序列は五十音順。

  • 青葉区 : あおばく 宮城県仙台市 - 神奈川県横浜市
  • 旭区 : あさひく 神奈川県横浜市 - 大阪府大阪市
  • 泉区 : いずみく 宮城県仙台市 - 神奈川県横浜市
  • 北区 : きたく 東京都特別区 - 北海道札幌市 - 埼玉県さいたま市 - 新潟県新潟市 - 愛知県名古屋市 - 京都府京都市 - 大阪府大阪市 - 大阪府堺市 - 兵庫県神戸市 - 岡山県岡山市 - 熊本県熊本市
  • 中央区 : ちゅうおうく 東京都特別区 - 北海道札幌市 - 埼玉県さいたま市 - 千葉県千葉市 - 神奈川県相模原市 - 新潟県新潟市 - 静岡県浜松市 - 兵庫県神戸市 - 大阪府大阪市 - 福岡県福岡市 - 熊本県熊本市
  • 鶴見区 : つるみく 神奈川県横浜市 - 大阪府大阪市
  • 中区 : なかく 神奈川県横浜市 - 愛知県名古屋市 - 大阪府堺市 - 広島県広島市 - 岡山県岡山市
  • 西区 : にしく 北海道札幌市 - 埼玉県さいたま市 - 神奈川県横浜市 - 新潟県新潟市 - 愛知県名古屋市 - 大阪府大阪市 - 大阪府堺市 - 兵庫県神戸市 - 広島県広島市 - 福岡県福岡市 - 熊本県熊本市
  • 東区 : ひがしく 北海道札幌市 - 新潟県新潟市 - 愛知県名古屋市 - 大阪府堺市 - 広島県広島市 - 岡山県岡山市 - 福岡県福岡市 - 熊本県熊本市
  • 緑区 : みどりく 埼玉県さいたま市 - 千葉県千葉市 - 神奈川県横浜市 - 神奈川県相模原市 - 愛知県名古屋市
  • 港区 : みなとく 東京都特別区 - 愛知県名古屋市 - 大阪府大阪市
  • 南区 : みなみく 北海道札幌市 - 埼玉県さいたま市 - 神奈川県横浜市 - 神奈川県相模原市 - 新潟県新潟市 - 愛知県名古屋市 - 京都府京都市 - 大阪府堺市 - 広島県広島市 - 岡山県岡山市 - 福岡県福岡市 - 熊本県熊本市

同一名称の郡

序列は五十音順。読み方が異なるものはそれぞれの場所に表記し、もっとも配列の早いもの(五十音順)で代表した。

読み方も同じもの

  • 安芸郡: あきぐん 広島県 - 高知県
  • 大島郡: おおしまぐん 山口県 - 鹿児島県
  • 上川郡: かみかわぐん 北海道(上川管内北部) - 北海道(上川管内中部) - 北海道(十勝管内)
  • 熊毛郡: くまげぐん 山口県 - 鹿児島県
  • 中川郡: なかがわぐん 北海道(上川管内) - 北海道(十勝管内)
  • 日高郡: ひだかぐん 北海道 - 和歌山県

読み方は異なるもの

  • 愛知郡: 愛知県(あいちぐん) - 滋賀県(えちぐん)
  • 海部郡: 愛知県(あまぐん) - 徳島県(かいふぐん)
  • 三島郡: 新潟県(さんとうぐん) - 大阪府(みしまぐん)

同一名称の町

序列は五十音順。読み方が異なるものはそれぞれの場所に表記し、もっとも配列の早いもの(五十音順)で代表した。

読み方も同じもの

  • 小国町: おぐにまち 山形県西置賜郡 - 熊本県阿蘇郡
  • 金山町: かねやままち 山形県最上郡 - 福島県大沼郡
  • 川崎町: かわさきまち 宮城県柴田郡 - 福岡県田川郡
  • 清水町: しみずちょう 北海道上川郡 - 静岡県駿東郡
  • 太子町: たいしちょう 大阪府南河内郡 - 兵庫県揖保郡
  • 高森町: たかもりまち 長野県下伊那郡 - 熊本県阿蘇郡
  • 南部町: なんぶちょう 青森県三戸郡 - 山梨県南巨摩郡 - 鳥取県西伯郡
  • 日高町: ひだかちょう 北海道沙流郡 - 和歌山県日高郡
  • 日野町: ひのちょう 滋賀県蒲生郡 - 鳥取県日野郡
  • 美里町: みさとまち 宮城県遠田郡 - 埼玉県児玉郡 - 熊本県下益城郡
  • 美郷町: みさとちょう 秋田県仙北郡 - 島根県邑智郡 - 宮崎県東臼杵郡
  • 美浜町: みはまちょう 福井県三方郡 - 愛知県知多郡 - 和歌山県日高郡
  • 森町: もりまち 北海道茅部郡 - 静岡県周智郡

読み方は異なるもの

「広川町」は読み方が異なる。「松前町」は「町」以外の部分の読み方が異なる。ほかは「町」の読み方だけは異なる。

  • 朝日町: 三重県三重郡(あさひちょう) - 山形県西村山郡、富山県下新川郡(あさひまち)
  • 池田町: 北海道中川郡、福井県今立郡、岐阜県揖斐郡(いけだちょう) - 長野県北安曇郡(いけだまち)
  • 川西町: 奈良県磯城郡(かわにしちょう) - 山形県東置賜郡(かわにしまち)
  • 広川町: 和歌山県有田郡(ひろがわちょう) - 福岡県八女郡(ひろかわまち)
  • 松前町: 愛媛県伊予郡(まさきちょう) - 北海道松前郡(まつまえちょう)
  • 明和町: 三重県多気郡(めいわちょう) - 群馬県邑楽郡(めいわまち)

同一名称の村

序列は五十音順。読み方が異なるものはそれぞれの場所に表記し、もっとも配列の早いもの(五十音順)で代表した。

読み方も同じもの

  • 川上村: かわかみむら 長野県南佐久郡 - 奈良県吉野郡
  • 昭和村: しょうわむら 福島県大沼郡 - 群馬県利根郡
  • 高山村: たかやまむら 群馬県吾妻郡 - 長野県上高井郡
  • 泊村: とまりむら 北海道古宇郡(後志管内) - 北海道国後郡(根室管内)

読み方は異なるもの

「村」はどちらも「むら」と読む。

  • 南牧村: 群馬県甘楽郡(なんもくむら) - 長野県南佐久郡(みなみまきむら)

市、区、町、村の類別を除いた部分が同一の市区町村

読み方も同じもの

行政区政令市名で表示(例:大阪市中央区は「大阪市」と表示)。 序列は五十音順。町・村の場合は所属郡名は通常省略(同一都道府県内にある場合は省略せず)。

読み方は異なるもの

関連郡名と同じ表記の市区町村

現存の郡のみを収録。

読み方も同じもの

読み方は異なるもの

同一ではないが混同しやすい名称の市区町村および郡一覧

異なる表記だが読み方が同一の市

同音異字の市。序列は五十音順。

異なる表記だが読み方が同一の区

同音異字の区。序列は五十音順。

異なる表記だが読み方が同一の郡

同音異字の郡。序列は五十音順。

異なる表記だが読み方が同一の町

同音異字の町。序列は五十音順。なお、「町」の読み方は不問。

異なる表記だが読み方が同一の村

同音異字の村。序列は五十音順。また、「村」はどちらも「むら」と読む。

異なる表記だが市、区、町、村の類別を除いた部分の読み方が同一の市区町村

関連郡名と同じ読みだが異なる表記を使用する市町村

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ a b “市町村の名称について”. 文化庁. pp. 1-4. 2023年1月31日閲覧。
  2. ^ “<府中新聞>1日違い 同名市の因縁 東京ー広島 昔わだかまり 今は仲良し:東京新聞 TOKYO Web”. 東京新聞 TOKYO Web (2023年1月9日). 2023年1月31日閲覧。
  3. ^ a b c 村山研一 (12 2009). “市町村合併と市町村名称の選択”. 地域ブランド研究 (5): 1-30. 

関連項目

プロジェクト

  • プロジェクト:日本の市町村
  • プロジェクト:地図