ヘンスリー・ミューレンス

ヘンスリー・ミューレンス
Hensley Meulens

コロラド・ロッキーズ コーチ #31
2011年
基本情報
国籍	オランダ
出身地	アンティル自治領ウィレムスタッド（現： キュラソー）
生年月日	(1967-06-23) 1967年6月23日（56歳）
身長 体重	6' 3" ＝約190.5 cm 210 lb ＝約95.3 kg
選手情報
投球・打席	右投右打
ポジション	三塁手、一塁手、外野手
プロ入り	1985年 アマチュアFA
初出場	MLB / 1989年8月23日 NPB / 1994年4月9日 KBO / 2000年
最終出場	MLB / 1998年5月14日 NPB / 1996年10月2日 KBO / 2000年
経歴（括弧内はプロチーム在籍年度）
選手歴 トリンテイツ高等学校 ニューヨーク・ヤンキース (1989 - 1993) 千葉ロッテマリーンズ (1994) ヤクルトスワローズ (1995 - 1996) モントリオール・エクスポズ (1997) アリゾナ・ダイヤモンドバックス (1998) ニューアーク・ベアーズ (1999) SKワイバーンズ (2000) サルティーヨ・サラペメーカーズ (2000) ニューアーク・ベアーズ (2001) サルティーヨ・サラペメーカーズ (2001) プエブラ・パロッツ (2002) コーチ歴 サンフランシスコ・ジャイアンツ (2010 - 2019) ニューヨーク・メッツ (2020) ニューヨーク・ヤンキース (2022) コロラド・ロッキーズ (2023 - )
国際大会
代表チーム	オランダ
五輪	2000年
この表について この表はテンプレートを用いて表示しています。編集方法はTemplate:Infobox baseball playerを参照してください。 ■プロジェクト:野球選手  ■テンプレート

ヘンスリー・フィレモン・アカシオ・ミューレンス（Hensley Filemon Acasio Meulens、1967年6月23日 - ）は、オランダ領アンティルのキュラソーウィレムスタッド出身の元プロ野球選手（内野手、外野手）、野球指導者。右投右打。現在は、MLBのコロラド・ロッキーズで打撃コーチを務める。

NPBでの登録名は「ミューレン」。NPB史上初のオランダ人選手である。

国際大会では2013年から野球オランダ代表の監督を務めている。

経歴

現役時代

1985年にアマチュア・フリーエージェントでニューヨーク・ヤンキースと契約してプロ入り。

1989年8月23日のボストン・レッドソックス戦で「8番・三塁手」としてMLBデビューを果たし、3打数1安打をマークする。

1994年にNPBの千葉ロッテマリーンズに入団。カリブ海にあるキュラソーはオランダ領であることから、NPB初の「オランダ人助っ人」が誕生した。英語・スペイン語・オランダ語（実際はオランダ語というよりも出身地の母語であるパピアメント語^[1]）を話せるマルチリンガルとして選手名鑑に登場した。登録名は「ミューレン」とされ、離日直前のサインにはつたないながらも、カタカナで「ミューレンス」と添え書きしていた。ロッテでは23本塁打、69打点の数字を残したが、この年のオフに就任したボビー・バレンタイン監督から戦力外通告を受け、1年で退団となった。

1995年にヤクルトスワローズに入団した。ヤクルトは同年阪神タイガースからアベレージヒッターのトーマス・オマリーを獲得したものの、広沢克己とジャック・ハウエルの2人の長距離打者が読売ジャイアンツに移籍したことにより、長打力を買ってミューレンを獲得した。開幕2戦目、桑田真澄が飯田哲也への頭部死球で退場となった後、1点ビハインドの1死満塁のチャンスで回ってきて、その日は3打席3三振で1エラーのミューレンは汚名返上のタイムリーツーベースヒット（シーズン初安打）を放ってシーズン初勝利に貢献した。当初は中軸を期待されたが、下位（主に7番か8番）に置いて自由に打たせた結果、打率は低いものの長打力を発揮し「恐怖の8番打者」として、同年のリーグ優勝・日本一に貢献した。

1996年も打率の低さと三振が多く（2年連続リーグ三振王）、シーズン終了後にヤクルトを退団した。

1997年にモントリオール・エクスポズでMLB復帰した。

1998年はアリゾナ・ダイヤモンドバックスでプレーしたが、MLBに在籍する期間はそれほど長くなく、IBAFワールドカップやIBAFインターコンチネンタルカップのオランダ代表としてたまに顔を見せる程度となった。

1999年は独立リーグであるアトランティックリーグのニューアーク・ベアーズでプレー。

2000年にはKBOのサンバンウル・レイダースでプレーする予定であったが、経営難で同球団は解散し、その後を受けて設立されたSKワイバーンズに入団。しかし、成績不振によりシーズン途中で解雇された。その後はメキシカンリーグでプレーした^[2]。なお、シドニー五輪にもオランダ代表として出場している。

2001年は再びニューアーク・ベアーズに復帰。その後メキシカンリーグに移籍し、2002年に現役を引退した^[2]。

引退後

2009年はサンフランシスコ・ジャイアンツ傘下のAAA級フレズノ・グリズリーズにコーチとして在籍した。また、第2回WBCオランダ代表のコーチも務めた。

2010年からはジャイアンツの打撃コーチを務めている。

2012年4月27日にオランダにおける野球界での功績を称えて、ベアトリックス女王からナイトの称号であるOrder of Orange-Nassau（オランダ語版）が与えられた。

2013年には、前年に打撃コーチとしてジャイアンツをワールドチャンピオンに導いた手腕を評価され、第3回WBCオランダ代表の監督を務めた。この大会では、チームを初の決勝ラウンド進出（準決勝で敗退）に導いた。

2015年9月10日に第1回WBSCプレミア12のオランダ代表監督に就任した^[3]。

2016年1月18日にキューバ代表との強化試合のオランダ代表監督を務める予定だった^[4]が、同試合は雨天中止となった^[5]。7月17日の日本代表との強化試合でもオランダ代表監督を務めることになった^[6]。

2017年3月の第4回WBCでもオランダ代表の監督を務めている。

2017年シーズン終了後にはヤンキースの新監督候補として面談を受け、最終候補2人まで残ったが落選した（新監督にはアーロン・ブーンが就任）^[7][8]。2018年シーズンからはジャイアンツのベンチコーチに転任となり^[9]、2019年まで務めた。

2020年シーズンからはニューヨーク・メッツのベンチコーチを務める^[10]も、1年限りで退任した^[11]。

2022年2月28日にヤンキースの打撃コーチ補佐に就任し^[12]、シーズン終了後に退任した。

2023年シーズンからはコロラド・ロッキーズの打撃コーチを務める^[13]。

人物

温厚な性格で、ヤクルト時代の同僚の高津臣吾は、「性格はヤクルトに来た外国人選手の中でもトップクラス」と述べており、会話のほとんどは日本語という^[14]。また、ヤクルト時代監督だった野村克也も、「人間的にも最高の男で、ナイスガイ」と述べている^[15]。

1994年にロッテで共にプレーし、ヤンキースでもチームメイトだったメル・ホールからは実績の格の違い（ホールがメジャーのレギュラーだったのに対し、ミューレンはメジャーとAAA級を行ったり来たりするレベルだった）や7歳年下だったことを理由に使い走りをされたり、ロッカーをいじられたり殴られたりするなどかなりいじめを受けていた。当時の監督だった八木沢荘六も2度ホールに注意したが改善されず、むしろいじめはエスカレートした。ミューレンはこのホールの件に関し、「ホールは嫌な奴だった。二度と思い出したくない」と語っている。ホールの件はロッテのチームメイトでもある愛甲猛が著書で「史上最低の野球選手」と酷評したり、おなじく小宮山悟がテレビ出演の折にホールのエピソードを口にしたうえで「こいつだけは許せないと思った」「はらわたが煮えくり返った」と怒りをぶちまけたりするなど、いかに人格的に問題があったかが窺える。その後、ミューレンが現役引退後も野球指導者として成功し母国にも多大な貢献をしているのに比べて、ホールは引退後野球界に残れなかったばかりでなく、児童猥褻罪で逮捕・収監され現在も塀の中という、正反対の人生を送っている。

ヤクルト時代の応援歌はミューレン退団後高橋智、副島孔太（副島はCDのみ収録されていて、球場では未使用）に流用され、2011年から2019年までは同じキュラソー島出身のウラディミール・バレンティンに流用されていた。

詳細情報

年度別打撃成績

• 各年度の太字はリーグ最高

表彰

MiLB

• インターナショナルリーグMVP：1回（1990年）

記録

NPB

• 初出場・初先発出場：1994年4月9日、対日本ハムファイターズ1回戦（東京ドーム）、4番・左翼手として先発出場
• 初安打・初打点：同上、3回表に西崎幸広から先制2点適時打
• 初本塁打：1994年4月22日、対日本ハムファイターズ3回戦（千葉マリンスタジアム）、5回裏に河野博文から先制ソロ

背番号

• 28（1989年 - 同年途中）
• 57（1989年途中 - 同年途中）
• 58（1989年途中 - 同年終了、2020年）
• 31（1990年 - 1991年、1993年 - 1994年、1997年、2000年、2010年 - 2019年、2023年 - ）
• 59（1992年）
• 9（1995年 - 1996年）
• 29（1998年）
• 56（2022年 - 同年7月31日^[16]）

代表歴

• シドニーオリンピック野球オランダ代表

代表でのコーチ歴

• 2009 ワールド・ベースボール・クラシック・オランダ代表

代表での監督歴

• 2013 ワールド・ベースボール・クラシック・オランダ代表
• 2015 WBSCプレミア12 オランダ代表
• 2017 ワールド・ベースボール・クラシック・オランダ代表
• 2019 WBSCプレミア12 オランダ代表
• 2023 ワールド・ベースボール・クラシック・オランダ代表

脚注

関連項目

• メジャーリーグベースボールの選手一覧 M
• キュラソー出身のメジャーリーグベースボール選手一覧
• 中南米出身の日本プロ野球外国人選手一覧
• 千葉ロッテマリーンズの選手一覧
• 東京ヤクルトスワローズの選手一覧

外部リンク

ウィキメディア・コモンズには、ヘンスリー・ミューレンスに関連するカテゴリがあります。

• 選手の通算成績と情報 MLB、ESPN、Baseball-Reference、Fangraphs、The Baseball Cube、Baseball-Reference (Register)
• Hensley Meulens stats MiLB.com （英語）
• 選手の各国通算成績 Baseball-Reference (Japan)

野球オランダ代表

コーチとして 表 話 編 歴 野球オランダ代表 - 2009 ワールド・ベースボール・クラシック 監督 8 ロッド・デルモニコ コーチ バート・ブライレブン ビル・フローバーグ ウィム・マルティヌス ヘンスリー・ミューレンス ジム・ストーケル ベン・テイセン 投手 3 ベリー・ファンドリエル 9 ピム・ワルスマ 13 ミヒール・ファンカンペン 19 ロブ・コルデマンス 25 デビッド・バーグマン 29 デニス・ニューマン 31 アレクサンダー・スミット 36 ディエゴマー・マークウェル 44 レオン・ボイド 45 フアン・カルロス・スルバラン 47 シドニー・ポンソン 51 トム・ストイフバーゲン 56 リック・バンデンハーク 捕手 24 シドニー・デヨング 40 シャーロン・スコープ 50 ケンリー・ジャンセン 内野手 2 ユレンデル・デキャスター 4 ヘインリー・スタティア 5 マイケル・ダースマ 12 シャーノル・アドリアーナ 35 ランドール・サイモン 41 ヴィンス・ルーイ 43 クルト・スミス 外野手 18 ダーク・ファンクルースター 21 ジーン・キングセール 27 ダニー・ロンブリー 37 ブライアン・エンゲルハルト 67 グレッグ・ハルマン   監督として   WBCオランダ代表 表 話 編 歴 野球オランダ代表 - 2013 ワールド・ベースボール・クラシック 監督 31 ヘンスリー・ミューレンス コーチ バート・ブライレブン ブライアン・ファーレイ スティーブ・ヤンセン ウィム・マルティヌス トゥジャーク・シーツ ベン・テイセン 投手 3 ベリー・ファンドリエル 7 ジョナタン・イセニア（決勝R離脱） 13 ケビン・ベジスティック 19 ロブ・コルデマンス 29 ジョナサン・バレンティナ 36 ディエゴマー・マークウェル 39 シャイロン・マルティス 40 オーランド・イェンテマ 47 デビッド・バーグマン 48 トム・ストイフバーゲン 51 ルーク・ファンミル 55 レオン・ボイド 74 ケンリー・ジャンセン（決勝R合流） 96 マーク・パフェレク 捕手 5 バス・ノーイ 21 ダシェンコ・リカルド 内野手 1 ザンダー・ボガーツ 9 アンドレルトン・シモンズ 10 ジュリクソン・プロファー（決勝R合流） 16 ヘインリー・スタティア 18 クルト・スミス 22 ユレンデル・デキャスター（決勝R離脱） 23 クエンティン・デクーバ 46 ジョナサン・スコープ 外野手 2 ロジャー・バーナディーナ 4 ウラディミール・バレンティン 8 マイケル・ダースマ 12 カリアン・サムス 14 ランドルフ・オドゥバー 25 アンドリュー・ジョーンズ 表 話 編 歴 野球オランダ代表 - 2017 ワールド・ベースボール・クラシック 監督 31 ヘンスリー・ミューレンス コーチ 25 アンドリュー・ジョーンズ（ベンチ） 15 スティーブ・ヤンセン（投手） 28 バート・ブライレブン（投手） 24 シドニー・デヨング（打撃） 34 ウィム・マルティヌス（一塁ベース） 44 ベン・テイセン（三塁ベース） 投手 19 ロブ・コルデマンス 20 マイク・ボルセンブローク 26 トム・ストイフバーゲン 29 ラルス・ハイアー 36 ディエゴマー・マークウェル 39 シャイロン・マルティス 40 オーランド・イェンテマ 44 リック・バンデンハーク 45 J.C.スルバラン 46 ルーク・ファンミル 49 ジェイアー・ジャージェンス 50 トム・デブロック 50 ジム・プロエガー 74 ケンリー・ジャンセン（途中参加） 捕手 21 ダシェンコ・リカルド 37 ショーン・ザラーガ 66 チャドウィック・トロンプ（途中参加） 内野手 1 ザンダー・ボガーツ 2 アンドレルトン・シモンズ 6 ジョナサン・スコープ 7 ユレンデル・デキャスター 10 ジュリクソン・プロファー 12 ドウェイン・ケンプ 15 シャーロン・スコープ 18 ディディ・グレゴリウス（途中離脱） 27 スティン・ファンデルメール 30 クルト・スミス 外野手 4 ウラディミール・バレンティン 14 ランドルフ・オドゥバー 35 カリアン・サムス   WBSCプレミア12 オランダ代表 表 話 編 歴 野球オランダ代表 - 2015 WBSCプレミア12 監督 ヘンスリー・ミューレンス コーチ スティーブ・ヤンセン シドニー・デヨング マイク・ハートリー カルビン・マドゥロ ベン・テイセン ウィム・マルティヌス 投手 3 ベリー・ファンドリエル 13 ケビン・ベジスティック 19 ロブ・コルデマンス 20 マイク・ボルセンブローク 26 トム・ストイフバーゲン 36 ディエゴマー・マークウェル 37 バイロン・コルネリッセ 39 シャイロン・マルティス 40 オーランド・イェンテマ 45 フアン・カルロス・スルバラン 46 ルーク・ファンミル 49 ジェイアー・ジャージェンス 50 ジム・プロエガー 捕手 12 ダシェンコ・リカルド 22 ショーン・ザラーガ 30 ジアニソン・ボックハウト 内野手 1 カールトン・ダール 7 ユレンデル・デキャスター 8 ドウェイン・ケンプ 9 クルト・スミス 15 シャーロン・スコープ 16 ヘインリー・スタティア 25 アンドリュー・ジョーンズ 32 ジャンフランコ・ワウォエ 外野手 4 ウラディミール・バレンティン 14 ランドルフ・オドゥバー 17 クリストファー・ガリア 35 カリアン・サムス 表 話 編 歴 野球オランダ代表 - 2019 WBSCプレミア12 監督 ヘンスリー・ミューレンス コーチ エフェルトヤン・エトゥーン（オランダ語版） アンドリュー・ジョーンズ シャーノル・アドリアーナ シドニー・デヨング バート・ブライレブン ロビン・ファンドーンスピーク ベン・テイセン ウィム・マルティネス 投手 マイク・ボルセンブローク ロブ・コルデマンス ラルス・ハイアー（英語版） オルセン・ジョセフィーナ ジェイアー・ジャージェンス ケビン・ケリー（英語版） ディエゴマー・マークウェル シャイロン・マルティス ジム・プロエガー トム・ストイフバーゲン フアン・カルロス・スルバラン フランクリン・ファングープ オーランド・イェンテマ 捕手 ヘンドリック・クレメンティナ シクナルフ・ループストック チャドウィック・トロンプ 内野手 カールトン・ダール ユレンデル・デキャスター レイパトリック・ディダー ドウェイン・ケンプ（オランダ語版） ジェレミー・プロファー（英語版） シャーロン・スコープ クルト・スミス ジャンフランコ・ワウォエ 外野手 ロジャー・バーナディーナ ギルマー・ランプ アデマル・リファエラ カリアン・サムス