パラグアイの教育

パラグアイの教育(パラグアイのきょういく)では、パラグアイ共和国教育について述べる。

制度

1992年憲法の第73条によって教育を受ける権利が、第75条によって教育を受けさせる社会の責任が、第85条によって教育予算が国家予算の20%を下回ってはならないと定められている[1]初等教育の6年間と前期中等教育の3年間の計9年間が義務教育期間となっている。パラグアイの教育政策に対しては、基本的には文部省が責任を追っている[2]

就学前教育

幼稚園の5歳から6歳までが就学前教育と位置づけられている[2]。しかし、6歳以下の人口で幼稚園や保育園に通っているのは僅か5%程である[2]

初等教育

初等教育は初等学校の6年間(6歳から12歳まで)である[2]

1992年の初等教育の就学率は92%、卒業率は54%であった[3]

中等教育

中等教育は中等学校(コレヒオ)に於ける3年間(12歳から15歳まで)の前期中等教育(基礎サイクル)と、同じく3年間(15歳から18歳まで)の後期中等教育(多様化サイクル)からなる[2]。後期中等教育からは人文科学バチリェラート、商業バチリェラート、技術バチリェラートに分かれている[2]。その他にも技術者、教員、専門職を要請することを主眼に置いた専門教育課程が存在する[2]

1992年の中等教育の就学率は37%、卒業率は18%であった[3]

高等教育

後期中等教育の人文科学バチリェラートか商業バチリェラートを修了した者は高等教育を受けることが可能になる[2]。学部は4年制から6年制である[2]。1989年に高等教育に関する規制が取り払われるまでは、国立アスンシオン大学(1886)とパラグアイ・カトリック大学(1960)以外の大学は存在しえなかった[2]

二言語教育

1992年憲法第140条によってそれまでのスペイン語に加えてグアラニー語が新たに公用語として認められ、第77条ではグアラニー語で教育を受ける権利が定められた[4]。1994年から初等教育に於けるグアラニー語の導入を定めたバイリンガル教育計画 (Plan de Educación Bilingüe, PEB) が実施されている[5]

課題

初等教育、中等教育、高等教育のいずれに於いても中退率が高く、また都市部と農村部で学校の設備に大きな格差があること[3]、国家としての所得格差の大きさが、教育への平等なアクセスを妨げていること、教員の待遇の悪さに起因する無資格教員の存在[6]などが問題となっている

脚注

  1. ^ 永見(2001:85-86)
  2. ^ a b c d e f g h i j 永見(2001:86-88)
  3. ^ a b c 永見(2001:88-90)
  4. ^ 青砥(2008:9-10)
  5. ^ 青砥(2008:1)
  6. ^ 永見(2001:90-91)

参考文献

  • 青砥清一「パラグアイのバイリンガル教育計画について」『神田外語大学紀要20』神田外語大学、2008年3月。
  • 永見紀代子「<個人論文>パラグアイ共和国の教育制度に関する研究」『東京大学大学院教育学研究科教育行政学研究室紀要』東京大学、2001年3月。

関連項目

ウィキメディア・コモンズには、パラグアイの教育に関連するカテゴリがあります。

脚注

  1. ^ ◆学校の詳細情報 (平成27年11月更新情報)
  2. ^ 日本流で学ぼう!パラグアイの私立学校
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